化粧品業界では、季節ごとの新作発表や限定商品の展開など、コンスタントに新商品が市場に投入されています。そのため、コスメショップや薬局において化粧品関連の什器は回転率が良いジャンルとなっており、売り場で使用される機会も豊富です。
しかし、数多くの商品が並ぶ競争の激しい市場において、自社製品を効果的にアピールするためには、他社製品との差別化が重要になります。
商品の魅力や特徴を適切に伝えられる什器を製作することで、消費者の関心を引きつけ、購買意欲を高めることが可能となります。本記事では、化粧品向け什器の種類や特徴、オリジナルで製作する際のポイントや注意点について詳しく解説します。
化粧品什器の役割・必要性

化粧品什器は単なる商品の陳列台ではなく、ブランドの価値を伝え、販売促進を図る重要なマーケティングツールとしての役割を担っています。
店舗のフロアにおいて消費者の視線を集め、商品の魅力を効果的に訴求することで、購買行動に大きな影響を与えます。ここでは、化粧品什器が果たす役割と、その必要性について詳しく見ていきましょう。
販売促進
化粧品の新商品発売やリニューアル時において、販促什器は強力なプロモーションツールとして機能します。カウンター周辺やフロアの目立つ場所に設置すれば、通行する消費者の視線を集め、商品への関心を高めます。
さらに、商品の色味やテクスチャーを効果的に表現できるデザインで製作することで、消費者に魅力を直感的に訴求できます。加えて、季節限定や数量限定の商品を際立たせられれば、希少性による購買意欲の喚起にもつながります。
このように適切な什器を活用した販促活動は、競合商品がひしめく売り場に置いて、自社製品を選んでもらうための重要なアプローチとなります。
ブランディング
春夏や秋冬など、新商品が各社から同時期に発売されるタイミングでのブランドの差別化は極めて重要です。コスメブランドが持つ独自の世界観やコンセプトをデザインに反映させることで、消費者にブランドの魅力を効果的に伝えることができます。
例えば、紙素材を活用したエコフレンドリーな什器や、高級感のある素材を用いた什器など、ブランドイメージに合わせた設計を行うことで、より魅力を訴求できます。
このようなブランディングは、消費者の愛着を育み、長期的な顧客関係の構築につながります。さらに競合との差別化を実現し、市場における優位性を確立するための重要なアプローチとなります。
顧客体験の向上
化粧品什器の重要な役割は、顧客の購買体験を向上させることです。テスターやサンプルを展示することで、消費者は実際に色味や質感を高めながら購入を検討できます。特にファンデーションやリップカラーのように使用感が重視されるアイテムでは、テスターが購買決定を協力に後押しします。
さらに、商品情報や特徴を什器に掲示することで、消費者の理解を深め、不安を解消する効果も期待できます。近年はSNSや口コミを参考にオンラインで購入するケースも増えていますが、実際に商品を手にとって試すことができるのは店舗ならではの体験です。
そのため化粧品什器は、リアル店舗における購買体験を充実させるための重要なツールとして機能します。
化粧品向けの什器の種類

化粧品向けの什器には、さまざまな種類が存在し、設置場所や用途に応じて選ぶ必要があります。それぞれ特有の特徴と機能があり、商品の魅力を最大限に引き出すために適切な選択が求められます。ここでは、主要な化粧品什器の種類についてその特徴と活用方法を解説します。
ハンガー什器
ハンガー什器は、壁面やラックなどに設置される吊り下げ式の陳列什器です。化粧品の小物商品やパッケージ商品の展示に適しており、限られたスペースを有効活用できる特徴があります。リップスティックやアイシャドウなどの小型化粧品を効率的にディスプレイすることで、商品の選択肢を豊富に見せることができます。
紙製にすれば、軽量で設置が容易であり、期間限定商品やキャンペーン商品の販促に適しています。製作時には、商品の重量を考慮した耐久性の確保と、設置場所を考慮したサイズ設計が重要なポイントになります。
カウンター什器
カウンター什器は、レジ周辺や化粧品コーナーの棚上など限られたスペースに設置できる卓上型の什器です。小さな設置面積で効率よく商品を見せることができます。化粧品分野では、フロア什器の上部を取り外してカウンター什器としても活用できる仕様になっていることもあります。
これは店舗のスペースによって使い分けられるだけではなく、フロア什器での新商品の売り出し期間が終了した後に、分解をして同じ什器をカウンター什器として流用ができるという利点があります。
どの規模の小売店舗でも導入がしやすく、簡易的な仕様でも長期間使用ができる汎用性の高いツールです。
フロア什器
フロア什器は、店舗の床面に直接設置される大型什器で、通常の棚とは別の場所に配置され、売り場の一角にコーナー展開をするために用いられます。他社の新商品什器と並んで展開されることも多いため、差別化を意識したデザイン設計が欠かせません。
化粧品向けの場合は、、商品の陳列だけでなく、ショーケースのようにブランドの世界観を演出できる点に特徴があります。ときには製品の特徴やカラー説明といった情報訴求が、商品の陳列以上に重視されることもあります。これは飲料や食品のフロア什器とは異なる、化粧品ならではの特徴です。
大型の什器は売り場で強い存在感を放つ一方、安定性や耐久性にも配慮した設計が求められます。ブランド表現と実用性を両立させることが、化粧品フロア什器の活用の鍵となります。
化粧品什器を製作する際のポイント
化粧品什器の製作では、陳列する商品の特性と販売環境を十分に考慮した設計が求められます。効果的な化粧品什器を製作するためには、複数の要素を総合的に検討し、バランスの取れた仕様を決定することが重要です。
サイズ
サイズ設計は、設置場所の制約と商品の特性を考慮した慎重な検討が必要です。既存の什器や他の販促ツールとの兼ね合いを考慮し、限られたスペースで最大の効果を発揮できる寸法を決定することが重要です。
フロア什器においては、消費者の動線を妨げることなく、十分な商品陳列スペースを確保できる適切なサイズバランスを見つける必要があります。製作時に商品ラインナップの変更や季節商品の入れ替えにも対応できる柔軟性を持たせることで、長期的な使用価値を高めることができます。
デザイン
化粧品は販促什器のデザイン性が売上に直結するため、華やかで洗練されたデザインが求められます。デザインはブランドターゲットとブランドイメージ、商品の特性や世界観を表現することでより効果的に働くでしょう。例えば、商品単価の高い高級コスメの場合は、商品自体の美しさを損なわないデザインを求められます。
印刷をロゴやモチーフなど最低限にし、アクリルを使うなどして、商品の価格に見合った素材選びをすることで、ブランドイメージを崩さない訴求をすることができます。オーガニックコスメの場合は、クラフト系の紙や優しい色合いでデザインすることで、ブランドが大切にしているコンセプトを表現することができ、購買者にブランドの魅力をアピールすることができます。
機能性・耐久性
什器はデザインだけでなく、使いやすさや耐久性も欠かせません。テスターを配置するスペースやカラーバリエーションごとの陳列、リーフレットを収納できるホルダーなどを備えることで、現場での利便性が向上します。試用期間や設置環境によって必要な耐久性は異なりますが、短期的なキャンペーンの場合は紙製が有効ですが、長期使用を前提とする場合は、強度のある素材を選ぶことが結果的にコストパフォーマンスの向上につながります。
設計段階で用途や使用期間を明確にし、機能性と耐久性を両立させることが、販促什器の質を左右する重要な要素となります。
コスト・費用
化粧品什器に限らず、製造コストは材質・オプション・数量によって大きく変動します。紙製什器は初期費用を抑えやすく、短期キャンペーンや季節限定商品の販促に適した選択肢です。一方で、半年以上の長期使用を想定する場合は、初期予算を増やして耐久性の高い材質を選ぶことで、結果的にコストパフォーマンスが向上するケースもあります。
また、定期的に販促什器を制作する場合は、商品の企画に合わせてテンプレート化し、共通パーツを活用することでコスト削減につながります。販促を単発で捉えるのか、年間計画に基づき複数の施策として展開するのかによっても、必要となる予算は大きく変わります。
コストを管理しつつ、什器の販売促進効果を測定できることが、費用対効果を最大化する鍵です。そのためには、什器の活用計画をあらかじめ明確に立てておくことが欠かせません。
PASSOT商材の活用例
PASSOTでは、化粧品什器の製作実績も十分にございます。化粧品製作のご依頼の場合は、陳列する商品のサンプルなどを提供いただければスムーズに製作することができます。
ここでは、PASSOTが過去に製作した実績をご紹介します。
ハンガー/カウンター兼用什器

吊り下げ什器の背面にミシン目を入れており、切り離して横並びにして設置することでカウンター什器としても使える兼用什器を作成しました。店舗のスペースや運用方法に合わせて使い方を選んで使用できます。
カウンター什器

スキンケアラインのテスター専用カウンター什器です。現場で使いやすいように汎用性のあるシンプルなデザインでの製作になりました。横にコットンが入り、下から取り出せるようになっています。視覚的にも、感覚的にも使いやすい什器です。
ビッグダミーフロア什器

2BYOの仕組みを利用して、実際の製品そっくりのビッグダミーを製作しました。インパクトある仕上がりのビッグダミーは商品の陳列はできませんが、顧客の注目を集め、足を止めさせることは間違いありません。
こちらは、紙・ダンボールを使い製作することで、樹脂やアクリルを使うよりもコストを押さえて製作をすることができます。
化粧品什器を製作するなら

化粧品業界における什器は、商品の魅力を訴求し、売上向上に直結する重要なマーケティングツールです。ハンガー什器、カウンター什器、フロア什器など、それぞれの特性を理解し、設置場所や用途に応じて最適な什器を選ぶことが成功の鍵となります。製作にあたっては、サイズ・デザイン・機能性・耐久性・コストのバランスを考慮することが不可欠です。特に化粧品はブランドイメージとの結びつきが強いため、単なる陳列台ではなく、世界観やメッセージを効果的に表現できる什器設計が求められます。
現在は、インフルエンサーやSNSの情報発信により、実際に手に取らず購入するケースも増えています。しかし、リアルな場で商品と出会い、質感や色味を確かめられる体験は、今後も人々に求められ続けるでしょう。オンラインでは得られない体験は、ブランドへの信頼を育み、購買意欲を強く後押しします。
化粧品だけに限らず、オンラインとオフラインを使い分けながら購買を楽しむスタイルが一般化すると考えられます。そのため売り場には、SNSで話題化する什器や、QRコード・デジタルコンテンツと連動した仕掛けなど、消費者体験を広げる工夫が求められます
今回は化粧品什器製作のポイントを解説しました。什器製作をご検討の際に、参考になれば幸いです。
PASSOTでは化粧品に限らず、様々な商材の什器を企画・製造しています。是非お気軽にお問い合わせください。